- 記憶術
仕事や学習の能力を高めるワーキングメモリとは?
最近、仕事が思うようにいかない。
集中力が続かなくて効率が上がらない。
このような悩みは「ワーキングメモリ」を鍛えることで解消することができるようになります。
仕事や学習の能力を高めるために、ワーキングメモリを鍛えていきましょう!
目次
1.ワーキングメモリ(作業記憶)とは?
2.日常的に使っているワーキングメモリの例
2-1.電話番号を覚える時に使う、短期記憶
2-2.作業机=ワーキングメモリ
2-3.優れたワーキングメモリの容量は少ない
3.ワーキングメモリの低下で起こるデメリット
3-1.仕事が手につかない
3-2.2つ以上のことを同時に処理できない
3-3.ネガティブ思考になる
4.ワーキングメモリを解放する
4-1.メモに書き出す
4-2.瞑想をする
5.ワーキングメモリを高める訓練する
5-1.イメージを思い浮かべる
5-2.数字を記憶する
5-3.トランプ52枚(1パック)を覚える
5-4.運動をする
5-5.読書をする
5-6.他の言語を学ぶ
5-7.脳に良い食事をする
6.まとめ
1.ワーキングメモリ(作業記憶)とは?
ワーキングメモリ(working memory:作業記憶)とは、短い時間で情報を保持し、同時に処理する能力です。
短い会話や簡単な計算など、私たちの生活を支える重要な能力です。
ワーキングメモリは、作業記憶・作動記憶とも呼ばれ、3つの要素で構成されていると考えられています。
・言語的短期記憶(数、単語、文章などの言語を司る部分)
・視空間的短期記憶(イメージ、絵、位置情報などの視覚を司る部分)
・中央実行系(注意の制御や、処理資源の配分といった高次の認知活動を司る部分)
中央実行系+言語的短期記憶=「言語性ワーキングメモリ」
・中央実行系+視空間的短期記憶=「視空間性ワーキングメモリ」
このようになり、ワーキングメモリは会話や簡単な計算、読み書きなどといった日常生活を支える重要な役割を果たしています。
2.日常的に使っているワーキングメモリの例
先ほどワーキングメモリについて難しい話をしましたが、ここでは実際にワーキングメモリを活用している日常を例にして説明をしたいと思います。
2-1.電話番号を覚える時に使う、短期記憶
人間はランダムな数字なら7±2個(5個から9個で、平均で7個)まで覚えられると言われています。
※これをマジカル・ナンバーといい、アメリカの心理学者のジョージ・ミラーが発見したものです。
保持できる時間は数十秒程度の記憶です。
保持時間だけでなく、一度に保持できる情報の大きさにも限界があるとされています。
この一時的な記憶を「短期記憶」と言います。
短期記憶された情報の多くはすぐに忘れてしまい、一部が長期記憶として保持されます。
これの代表的な例としては、電話番号をメモするまでの間や、スーパーに買い物に向かいながら夕飯の材料を覚えていくなどのシーンで利用されることが多いです。
また、日常的に行なっている会話の中でもワーキングメモリは使われています。
相手に聞かれた質問を覚えておくことや、読書での登場人物のことなど、実は私たちは知らないうちにワーキングメモリを使っているのです。
2-2.作業机=ワーキングメモリ
ワーキングメモリを説明する時には、よく作業机を例に例えられますが、
ここでは仕事面で出てくる具体的な例を紹介します。
まずは、仕事を依頼されたとします。
納期は2週間後として、まずは最初にスケジュールを決めるのがだいたいの作業だと思います。
このスケジュールの決定がワーキングメモリをフルに使うのです。
上記の図のように、まずはやるべき事や必要なことを過去の経験や記憶から取り出します。
そうして取り出した情報を組み合わせてスケジュールを立てる事がワーキングメモリを使う部分になります。
先ほど紹介したように、一度に情報を保持できるのは7±2個程度です。
スケジュールを思い出したら、スケジュール帳に書き込むと覚えておく必要がないため、瞬間的に記憶からは忘れるのと同じように、
上記の表でも、スケジュールに落とし込んだら、やるべき事の情報はワーキングメモリから捨てられます。
結果、ワーキングメモリの容量が大きい人は一度に多くの情報を覚えることが可能となるため、多くの情報の中から重要なタスクを選ぶ事ができるのです。
2-3.優れたワーキングメモリの容量は少ない
ここまでで、ワーキングメモリの重要性は分かって頂けたと思います。
しかし、この優れたワーキングメモリは容量がもともと少ないのです。
ワーキングメモリに記憶しておける情報は7±2個程度なので、情報量がワーキングメモリの容量を超えると、ワーキングメモリで蓄えた情報は押し出されてしまいます。
記憶力ランキング女性日本一
中原好さんのコメント
3.ワーキングメモリの低下で起こるデメリット
ワーキングメモリはもともと容量が少ないです。
このワーキングメモリの働きが低下したら、どのようなデメリットが起きると思いますか?
「何かをしようと思って、目的の場所に移動したのに、何歩か移動したら忘れた」
というような経験はありませんでしょうか?
これはワーキングメモリの働きが低下している時に起きる状態になります。
3-1.仕事が手につかない
仕事をしているビジネスパーソンなら、仕事が手につかないのは、死活問題です。
仕事を多く頼まれると焦ってしまって思考が止まってしまったり、ミスが多い人はワーキングメモリが少ないという原因があります。
ワーキングメモリに情報を置いておけなくなり、容量がオーバーしてしまって、思考が停止してしまうからです。
逆にワーキングメモリが多い人は、一度に多くのことを頼まれても情報を留めておける容量が多いので、より重要なことにフォーカスすることが出来たり、効率よく作業をこなすことができます。
3-2.2つ以上のことを同時に処理できない
ワーキングメモリーの容量が少ないと、一度に留めておける情報が少ないので、より多くのことを同時にこなすことが出来ません。
ワーキングメモリを圧迫させる他、脳にも負担がかかってしまい集中力を失わせることにもなります。
2つのことを同時に処理することを「デュアルタスク」や「マルチタスク」と言いますが、
ワーキングメモリの容量が少ないと、
「Aの仕事をしながらBの仕事もする」
といった事が出来ません。
マルチタスクが必ずしも仕事に役立つかというとそうではないですが、(最近ではシングルタスクの方が脳にはいいという話もあります。)出来ても損はないように思います。
3-3.ネガティブ思考になる
ワーキングメモリの容量が少ないと、仕事に集中出来ず、やりたいことや、やるべき事がなかなか進みません。
その結果、自分には出来ないんだという気持ちが出て、ネガティブな思考になってしまいます。
また、良くない出来事はワーキングメモリに長く滞在します。
「あの時、こうしておけば失敗しなかったのに」
というような出来事があればワーキングメモリを占拠することになるので、ネガティブな思考になってしまう時間が長くなるのです。
ワーキングメモリが低下すると、やろうとしていたことを忘れて、違うことをしてしまったり、仕事の処理速度が落ちてしまうため、仕事や学習でも効率が悪くなります。
また、効率が悪くなると、出来ないこと多くなり、「自分には出来ない」のだとネガティブな思考に陥ってしまうこともあります。
結果、悪循環が生まれ、更なる負のスパイラルが起きます。
仕事や学習、資格試験の勉強に励むビジネスマンにとってワーキングメモリを働かせることはとても重要で、ワーキングメモリが上手く働くと仕事や学習が効率的に、かつ意欲的にできるようになります。
では、ワーキングメモリの働きを良くするにはどうすれば良いのでしょうか?
ワーキングメモリ活用のアプローチは2つあります。
それは、
①ワーキングメモリを解放する
②ワーキングメモリを鍛える
ことです。
記憶力ランキング女性日本一
中原好さんのコメント
全ての情報は必ず最初は短期記憶として脳内に入ります。
それを長期記憶化するのは能力ではなく技術なんです!
4.ワーキングメモリを解放する
ワーキングメモリの働きを良くするためには、ワーキングメモリを解放してあげることが一番簡単です。
ワーキングメモリの容量は少ないので、様々な情報がどんどん入ってくると、古い情報から出ていってしまいます。
ワーキングメモリが圧迫されると大切な情報を思い出せないという事態になることも。
これらを防ぐためには、ワーキングメモリの容量を解放してあげればいいのです。
4-1.メモに書き出す
ワーキングメモリを解放するには、メモを取ることが一番効果的です。
人はメモをとったら、そのことは忘れるようになっています。
どんな些細なことでもいいので、メモを取るようにしましょう。
何か気になったことや、覚えておきたいことなど、後で調べようと思いがちですが、そうするとワーキングメモリが圧迫されてしまいますので、後でと考えず、すぐにメモをして忘れてしまってください。
様々な情報を整理するときにも、あれやこれやと考えているよりも、一度紙に落として、情報を整理することが有効なのはワーキングメモリが解放されるからなのです。
ワーキングメモリが解放されれば、新たな考えやひらめきが思いつくことだってあります。
仕事が上手くいかなかったり、人間関係や人生で行き詰まった時にも、この方法は効果的です。
自分が思っている悩みや問題を紙に書き出すことによって、不安な気持ちを解放することができるので、楽になります。
ぜひ、メモをとって、ワーキングメモリを解放してあげましょう。
4-2.瞑想をする
瞑想をすることも、ワーキングメモリを解放することに繋がります。
瞑想する時間は1日20分程度でOKです。
1日20分瞑想をすることで性能が上がったという研究結果もあります。
瞑想は集中力を向上させ、周りの音や雑念を排除できるようになります。
瞑想はストレスの解消にも繋がり、ストレス耐性も身につきます。
また、瞑想をすることで、脳を休ませることもできるので、是非試してみてください。
5.ワーキングメモリを高める訓練する
ワーキングメモリの容量は少なく限界があります。
しかし、ワーキングメモリは訓練をすることで増やせることが分かっています。
ワーキングメモリを鍛えて、容量を増やしてみましょう。
下記では少し変わった方法を3つご紹介します。
5-1.イメージを思い浮かべる
ワーキングメモリを鍛えるためには日常的にイメージを思い浮かべる訓練が効果的です。
「頭の中にイメージを思い浮かべる」
この訓練をすることによって、脳が活性化され、ワーキングメモリが鍛えられます。
「場所法」という言葉を聞いたことはありますか?
「場所法」とは人間の生存本能を利用した暗記方法です。
この方法は多くの天才たちが利用している方法です。
イメージを思い浮かべる訓練をするには人間の生存本能を利用している、この「場所法」を使った訓練がとても効果があります。
この方法は「記憶術」というメモリースポーツに繋がります。
日本ではあまり知られてはいませんが、海外では「記憶術」というと多くの人々が知っている競技になります。
「場所法」や「記憶術」に関することは下記にまとめておりますので、興味のある方はみて見てください。
5-2.数字を記憶する
上記と同様に、「数字を記憶する」ことも、ワーキングメモリを高める訓練になります。
例えば
1569875948
のような意味のない数字を覚えることが訓練の一つとなります。
ランダムで配置された数字を30秒後に答えるというような内容も「記憶術」の一つになり、実際にメモリースポーツでも競技の一つとなっております。
5-3.トランプ52枚(1パック)を覚える
メモリースポーツの競技の一つでもある、「トランプを52枚覚える」ことでもワーキングメモリを高めることができます。
トランプを52枚を覚えるなんて出来るの?と不思議に思うかもしれません。
しかし、この方法も正しい方法を用いれば覚えることが可能になっています。
これが出来るようになれば、家族や友人の前などで、マジックをしているかのように、自分の特技として披露することだって出来てしまいます。
楽しむことや楽しいことを考えるだけでも脳は活性化されるので、それが良い方向に働いてワーキングメモリの容量が増えるということにも繋がります。
トランプの記憶については、
記憶の学校認定講師である、大野元郎プロが
10分で228枚、1時間で936枚(18パック)、
トランプ52枚に至っては37.18秒で記憶するという日本記録を持っています。(2019年12月時点)
ご興味のある方は、下記を見てください!
ここからは手軽に取り入れられることを紹介します!
ワーキングメモリを高めるためには運動をすることも効果的です。
運動をすることは注意力や体力を使うため、それをコントロールするためにワーキングメモリを使用します。
特にオススメなのはランニングです。
気軽に取り入れられますし、どの環境でも出来ますよね。
ちょうど会話が出来ないぐらいのスピードで走るのが良いです。
ウォーキングも運動の一つにはなりますが、ワーキングメモリに負担をかけないので、注意力や体力を使うという点においても、ランニングをすることをオススメいたします。
更にそこに知的作業を組み合わせるのも効果的です。
「ランニングをしながら、計算する。記憶術のトレーニングをしてみる。」
知的作業を組み合わせることで、老化防止にもなり、ワーキングメモリを鍛えることに繋がります。
5-5.読書をする
読書は脳に負荷をかけるので、ワーキングメモリを高めるのにとても良い方法です。
また、ワーキングメモリを増やすための訓練になるだけではなく、本を読むことで色々な知識を吸収できるので、仕事や学習面でも役立つような知識を吸収できます。
最近は読み手が読みやすいように、短い文章やイラストで構成されている書籍も多いですが、なるべく脳に負担がかかるような、小説やエッセイなどのストーリーや登場人物が出てくるものを読むのが良いです。
5-6.他の言語を学ぶ
他の言語を学ぶことでもワーキングメモリを鍛えられます。
私たちがいつも使用している日本語は幼少期から使用し、慣れている単語の連続なので、あまりワーキングメモリに負担はかかりません。
しかし、慣れない他の言語を学ぶことは、まず聞き取ることでも頭を使います。
何の単語を言っているのか脳が処理して考えるからです。
更にそこから、その単語の意味を考え、日本語に置き換えて変換する作業はワーキングメモリを多く消費します。
自分で単語を並べて文章を作り、発言することでも脳を使いますので、他の言語を学ぶことはワーキングメモリを高めるためには良い訓練になります。
5-7.脳に良い食事をする
ワーキングメモリを高めるためには日々の習慣や食事も大切です。
ワーキングメモリを高めるために良いとされる食事もご紹介しますので、
詳しく知りたい方は、下記記事を参考にしてみてください。
記憶力ランキング女性日本一
中原好さんのコメント
実は食生活と睡眠時間を見直すだけでも記憶力は劇的にアップします!
大人より子供の方が記憶力いいと思われがちのは
子供の方が生活リズムが整っているという側面もあるんです!
6.まとめ
ここまでで、ワーキングメモリを解放することや、鍛えることについて紹介させて頂きましたが、あなたが実践できそうなことは見つかりましたか?
ワーキングメモリはとても重要なものだと分かって頂けたかと思います。
ワーキングメモリの働きを良くすることで、仕事や学習のパフォーマンスが向上します。
是非ワーキングメモリを高めるための行動をして見てください!
きっと日々の中で、自分の成長を感じる瞬間を実感できる日がくるかもしれません。
記事内でもご紹介させて頂きましたが、
ワーキングメモリを鍛えるのに有効な「場所法」の習得について、
この一連の記憶テクニックを、日本一の記憶力を持つ記憶コーチ”大野元郎プロ”が無料オンライン動画でくわしく解説しています。
すでに3万人以上の人が学んでいる、
実績のある講座ですので、
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有料の書籍やDVDよりも、実践的でためになると評判の無料オンライン講座です。
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COACH
この記事を監修してくれた記憶コーチ
中原 好プロ
2019年:記憶力国際資格取得(日本人3人目)
2020年:世界記憶協議会(WMSC)日本女性1位
国際記憶協会(IAM)日本女性1位
世界記憶競技協会(GAMA)日本女性1位
“記憶術”で人生が変わった受講生の一人であることから、受講生の気持ちに寄り添った指導を行う事ができ、はじめて記憶術に触れる受講生からの絶大な支持を得ている。
TV出演歴
- フジテレビ『ギリギリ』出演
- フジテレビ『ナイナイNOリミット』出演
- 日本テレビ『嵐にしやがれ』出演
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人のワーキングメモリはほとんど個人差がないと言われています。
でも何故か記憶力がいい人って周りにいませんか?
それにはちゃんとした理由があるんです!