- 記憶術
記憶のプロも使う、感情を刺激するワンランク上の記憶術とは?
「資格の勉強をしても、全く頭に入らない、、、」
「英語の単語やフレーズが思ったように覚えられない、、、」
資格試験や語学の習得に向けて努力しても、思い通りに覚えられないと焦りますよね。
「覚えたいことを自由自在に覚えられたらなぁ、、、」と考えたことがあるのではないでしょうか。
逆に、「仕事で大失敗して恥ずかしかったこと」や「失恋して悲しかったこと」など、
忘れたいのに記憶から離れないこともありますよね。
「覚えられない知識」と、「忘れられない経験」の差はなんなのでしょうか。
先に答えをいうと、失敗したことなどの忘れられない記憶は、
「感情」が含まれた経験であることが多いです。
人間の脳は、「感情」が含まれているエピソードを大切なものと認識するので、
忘れないように長期記憶として、脳に保存します。
ですので、記憶したい知識に「感情」を付け加えることで、忘れられない経験を意図的に
作り出すことができます。
実際に、記憶力を競うメモリースポーツに出場する、記憶のプロたちも使っている感情を使った記憶方法を紹介するので、是非実践してみてください!
目次
1.長期記憶になる仕組みとは
2.記憶のプロも使うエピソード記憶
2.1 ゴロに変換する
2.2 好きな音楽を聴いた後に勉強する
2.3 イラストをつける
3.世界一の記憶術と組み合わせる
4.まとめ
1.長期記憶になる仕組みとは
人間には、短期記憶と長期記憶があることはご存知だと思います。
短期記憶は、20秒程度しか記憶されないので、すぐに忘れてしまいます。
一方で、長期記憶は、記憶喪失などにならない限りは、この先ずっと覚えておけるような記憶しておくことができます。
短期記憶と長期記憶になる情報の違いは、果たしてなんなのでしょうか。
これには、かなり複雑な脳の仕組みが関係しているので、
要点だけをカンタンにご紹介します。
2種類の違いを理解するために大切なのが、「海馬」と呼ばれる脳の組織です
海馬には、「短期記憶をする」「長期記憶にする情報を選ぶ」という、
2つの大きな役割があります。
短期記憶に使っている海馬の機能は、「ワーキングメモリ」と呼ばれています。
ワーキングメモリは、人間が一度に覚えることができるものの数のことで、
5〜9個が平均と考えられています。
ですので、10個以上の短期記憶があると、どんどん忘れるように脳はできているのです。
そして、短期記憶として蓄えた知識を、長期記憶にするのか決めるのも海馬です。
結論から言えば、短期記憶と長期記憶の違いは、
「感情」が入っている情報なのか、ということがポイントになってきます。
つまり、長期記憶になる情報は、「知識」と「感情」がセットになっているのです。
ですので、資格や語学で覚えることは、ただの知識なので、感情が入っているエピソードに比べて覚えにくいのです。
記憶のプロが使う「感情記憶」は、覚えたい情報に「エピソード」を付け加えて、
長期記憶に残りやすいように工夫をしています。
次の章では、感情記憶の具体的な方法についてご紹介します。
記憶力チャンピオン
大野元郎さんのコメント
2.記憶のプロも使うエピソード記憶
感情を使うと言っても、ただ「嬉しい」「悲しい」という情報を付け加えるのではパワーが弱いので、ストーリーを作っていきます。
物語を作る理由は、物語を作ると、その時に起きたイベントなどには、
自然と感情が結びつきます。
こうすることで、感情とセットになった情報を、海馬が大切な知識だと認識するので、
覚えやすくすることができるのです。
記憶力を競うメモリースポーツの選手たちは、1時間で1000桁以上の数字を記憶してしまいますが、感情記憶ともう一つの記憶術を組み合わせて使用しています。
その方法については、次の章で説明するので、
まずは、今からでもすぐにできる、感情記憶の方法を3つご紹介します。
2.1 ゴロに変換する
歴史の時間に使ったことがあるのではないでしょうか。
有名なゴロの覚え方の一例として、織田信長が死んでしまう、1582年に起こった本能寺の変についてご紹介します。
「15=いちご」「82=パンツ」として、イチゴパンツとして1582年と記憶をします。
織田信長というと、戦国時代のカリスマ的存在なので、かっこいいイメージが強いのではないかと思います。
そのカリスマが、「かわいらしい」苺のパンツをはいているというストーリーには、たくさんの感情が含まれていますよね。
例えば、「かわいい」「意外」などといった感想を持つのではないでしょうか。
このように、ゴロをつけることで、自然と感情を付け加えることができるようになるので、
覚えやすくなります。
2.2 好きな音楽を聴いた後に勉強する
音楽には、さまざまな感情を表現したものがあります。
楽しい思い出を表現しているもの、失恋などの悲しかったこと、
感情がこもっているストーリーの宝庫です。
その歌を聞いた後、感情と覚えたい知識と合体させます。
例えば、失恋ソングを聞いた後には、失恋という意味の「heart break」を悲しい気持ちと一緒に覚えます。
心臓が壊れるほど、苦しいんだという感情が一緒に記憶されるので、
長期記憶になりやすくなります。
注意点は、歌詞つきの音楽を聴きながら覚えるのは、しない方がいいということです。
一般社団法人・日本人間工学会が発行する学術誌『人間工学』上で2009年に発表された研究によると、「歌詞つきの音楽」「歌詞なしの音楽」「無音」の場合で、テストの結果を調べたところ、
「歌詞つきの音楽」のグループが、最も間違った回答をしたそうです。
ですので、歌詞がある音楽は勉強の前に聞くようにすると効果的です。
無音のクラシック音楽などであれば、聴きながらその時の感情とセットで記憶すると、
長期記憶になりやすいです。
2.3 イラストをつける
学生時代に、教科書に出てくる人物に落書きしたことはないでしょうか。
集中力が落ちるので、よくないと言われることもありますが、
むしろ、落書きは集中力を上げるということが、研究によってわかっています。
プリマス大学(イギリス)で、40人の参加者に人と場所の名前を聞いてもらい、あとでそれを書き出してもらうという実験を行いました。
参加者の半数には、紙に落書きをしながら聞いてもらいました。
結果、「落書きをした」参加者は、「しなかった」参加者より 29%も多くの名前を思い出すことができていたのです。
これも、落書きによって喜怒哀楽などの感情が一緒に記憶されたためと考えられています。
単語などを覚える時には、その単語の意味に合わせたイラストをつけると効果的です。
記憶力チャンピオン
大野元郎さんのコメント
集中力は環境でコントロールすることができ、そのひとつが音楽。
状況に応じてお気に入りの音楽を用意しておきましょう!
3.世界一の記憶術と組み合わせる
感情と組み合わせることで、記憶はしやすくなるということは、
お分かりいただけたかと思います。
記憶のプロたちも使っているので、単体でも長期記憶にする効果はあります。
ですが、1時間で1000桁以上の数字を記憶してしまうメモリーアスリートたちは、
感情記憶に加えて、さらに覚えやすい記憶術を使っています。
その記憶術は、「忘れる方が難しい記憶術」と呼ばれるほどで、古代ギリシャから天才たちに語り継がれてきたメソッドです。
しかし、科学的根拠がなかったので、知る人ぞ知る記憶法として、
誰もが使うゴロ法のように有名ではありません。
それが、2014年にノーベル賞を受賞した研究によって、この記憶術が科学的にも効果的であるということが分かったのです。
まだ誰もが知っているわけでありませんが、少しずつ日本でも知られるようになってきていて、記憶術を競うメモリースポーツも日本で盛んになってきています。
もし、「忘れるのが難しい記憶術を知りたい」「記憶力をもっと良くしたい」「昔から記憶力が悪くて悩んでいる」という方向けの記事を用意しています。
初心者でも分かりやすいように構成してあるので、語学や資格試験の目標を達成するために、役立ててみてください。
記憶力チャンピオン
大野元郎さんのコメント
何とアメリカの記憶力チャンピオンは、
この方法を駆使して医師免許を取得しました!
4.まとめ
今回は、感情を使った記憶方法についてご紹介しました。
なんの工夫もせずに知識を覚えても、海馬が大切な情報と判断しないので、
長期記憶にはなりません。
海馬が長期記憶にしようとするのは、「感情」が一緒になっている記憶です。
ですので、ストーリーを作ると、喜怒哀楽が知識と結びつき、
脳にインプットされやすくなります。
他にも、ゴロで記憶をする、音楽を聴いた後に学習をする、落書きをして勉強する、ということが効果的であることもご紹介しました。
さらに、記憶のプロたちが組み合わせて使っている、忘れるのが難しい記憶術もご紹介したので、興味のある方はぜひその記事を読んでみてください。
全ての情報は必ず最初は短期記憶として脳内に入ります。
それを長期記憶化するのは能力ではなく技術なんです!